空白の戦記に収録されている一篇。
沖縄戦の話で、主人公は大城シゲという女性。
19歳。
看護隊に所属し軍に協力する。
看護だけでなく男たちに交じって塹壕堀りなどの土木作業にも従事した。
日本軍は劣勢で、シゲ達は基本洞窟内での生活になる。
炊飯もできないし水汲みに行くこともできない。
飢えと喉の渇きに耐えなければならなかった。
米軍への敵対心は増してくる。
シゲらは髪を切り白い鉢巻をしめ、その上に鉄兜を被り短剣を腰につけ戦闘に参加することになる。
切り込み隊にも志願する。
武器は竹やりで、専ら砲弾運搬にしたがった。
しかしアメリカ軍と日本軍の装備の差は歴然としている。
どんどん追い詰められ最後は特攻となる。
しかし、女性であるシゲ達、子供、老人は特攻に参加することは許されず、負傷兵と洞窟で自決することになる。
皆で自決し一緒に靖国神社に行くはずであったが、負傷兵は自決させなかった。
シゲたちは結局自決できず洞窟を出ることになる。
もちろん、沖縄を占拠した米軍は、シゲたちを殺したり凌辱したりはしない。
まず、この負傷兵、最低だと思った。
洞窟内で子供が泣けば、静かにさせろ、敵に見つかる、泣き止まなければ殺すと言い、洞窟を出る時には、一般人を装うため軍服を脱ぎ着物に着替えている。
これらの行為は非難されるものなのかどうか、戦争を体験したことない私には判断できないが、シゲたちには蔑まれたようだ。
でも、この負傷兵のおかげで、みんな自決することなく生き残れたので結果的にはよかったのかな~とも思った。
この結果が本当に良かったのか本人に確認してみないと分からないが・・・・
おわり
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