たぶんこうなるんじゃないだろうかな~って想像しながら読んで行ったらほぼほぼそういう展開になっていく内容だった。
しかし、読んでいておもしろかった。
湯川教授のセリフがよい。
殺人事件よりも環境保護とか技術の進化とかの部分が印象に残った。
特に海を守ろうと活動しているヒロインが海底資源調査船の見学に行くことになったときの湯川のセリフ。
「それらの機器が、海底を荒らすようなものじゃなかどうかを見たいだけだろ?」
「見るまでもない。それらは間違いなく海底を荒らす。そんなものを見たって、ただ腹を立てるだけだ。科学の発展や人間の未来といったものと環境保護を天秤にかける視点があるのなら話は別だが」
天秤にかけるのではなく両立したいと言うヒロインに対し
「理想を追うことはいいことだ」「しかし君の台詞には全く説得力がない。学問に対する謙虚さが感じられない」
「君は環境保護の専門家かもしれないが、科学に関しては素人だろう?海底資源開発について、どれほどのことを知っているというんだ。両立させたいというのなら、双方について同等の知識と経験を有している必要がある。一方を重視するだけで充分だというのは傲慢な態度だ。相手の仕事や考え方をリスペクトしてこそ、両立の道も拓ける」
たしかに穴探しばかりしていても平行線のままだと思った。
両立とまでは言わないまでも、討論するのであれば、ある程度は相手の主張も考えるべきだと思った。
誰も自然を破壊していいとは思っていないわけし、確かに環境を破壊してしまうだろうが、少しでも環境に負荷がかからないよう最大限の努力は当然している。
そこを踏まえたうえで討論しないと一方的に、何が何でも完璧にいっさい自然を汚さず海底調査をするなんて土台無理な話だと思った。
後、この本を読んで印象に残ったのは、犯人が自首しない、結局誰も法的に罰せられなかった点かな。
私が読んできた本の中では珍しいと思った。
どれだけ同情すべき点があっても最終的に罪を犯した者は法的な裁きを受けるケースが多いように感じていたので、ちょっと異色かなと思った。
おわり
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