内容は、ペリー艦隊来航時に、主席通詞をした堀達之助の生涯を描いたものです。
この主人公ですが、もともと長崎の出島で通詞をしており、基本、オランダ語は得意ですが、英語は、読み書きはできますが、聞いたり話したりするのは苦手です。
もちろん、ペリー来航以降は、オランダ語より英語が必要になります。
この人の生涯は、このペリー来航時の主席通詞の仕事が絶頂期で、その後の人生はあまり良いものではありません。
リュドルフ事件では、思わぬ嫌疑を受けて長い牢獄生活を強いられます。
詳しくは書きませんが、ドイツ商人の請願書を預かってそのまま奉行所に届けなかった罪で牢獄に入れられます。
牢獄中は、安政の大獄で、吉田松陰も牢屋は違いますが入牢します。
釈放されてからは、牢獄生活が長かったため(4年ぐらい)、英語の読み書きはできるが、聞いたり話したりは、英語に接する機会がなかったため、得意ではありません。
通詞としては評価されません。
無能扱いされます。
出世も後輩に先を越されかわいそうな人生を送ります。
読み書きは出来るので、「英和対訳袖珍辞書」を編纂します。
これは、日本初の本格的な英和辞書です。
しかし、この辞書も達之進に無断で改正増補されます。
美也というとても美しい嫁を娶りますが、この嫁もすぐ亡くなります。
妻が亡くなってからは抜け殻のような人生を送ります。
こういう評価されなかった人の小説を読むのもまた、面白いなあっと思いました。
主人公の人生を描いているだけでなく、幕末の外国人との交渉や官軍、幕府軍との戦い等も詳細に書かれていて読み応えがあり、おすすめの作品です。
価格:963円 |