まさよしのブログ

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涅槃 上 垣根涼介 を読んで

宇喜多直家の話。

時は戦国時代。

この武将は、大河ドラマ 黒田官兵衛 で、陣内孝則が演じていて、すこし変わった武将だったので少し気になっていた。

直家が幼少期、おじいさんが備前(岡山の東の方)の砥石城の城主であったのだが、味方(同じ浦上家の被官、一人は叔父だったと思う)に城を奪われる。

この時代、浦上家は、巨大な敵、尼子家などからの脅威があると一致団結して戦うが、平和になると内輪で勢力争いをしていたようだ。

誰が黒幕で、どういういきさつでそうなったかは定かではないが、この直家のおじいさんに限らず備前土豪たちは常にそういうリスクを持っていた。

城に攻め込まれた際、おじいさんは果敢に戦い城と共に討ち死にするのだが、オヤジはろくに戦いもせず、また家臣たちにその後の指示も与えず家族を引き連れ鞆の津へ逃れることになる。

このオヤジは別に悪い人ではないのだが武将としては凡庸以下の人だ。

直家は、そういう事情で幼少期、鞆の津で過ごすことになるのだが、おじいさんと懇意にしていた備前福岡の豪商の厚意により鞆の津から備前福岡の豪商の屋敷に家族ともども移り住み生活を支援してもらえるようになる。

しかし、オヤジはその豪商の娘を孕ませる。

母はそのオヤジに愛想をつかしたのもあるが、直家のお家再興できるように浦上家で働くようになる。

浦上家に宇喜多家を売り込む、または同情を買うためだ。

そういう幼少期だったのが原因かもしれないが、直家は無口で人付き合いの苦手な人物に成長する。

侍の子なので友達もできない。

幼少期の苦労がその後の人格形成に影響してしまったのかもしれない。

こんな命を懸けたつまらない侍になるより、商人としての生き方を直家は渇望するようになるが、周りのお家再興の支援もあり、自分の意思とはそぐわない侍の道に進むことになる。

やがて、直家は母や豪商やいろいろな人たちの助けに寄り、再度、浦上家に仕官でき、功績をあげ、城持ち大名になる。

そしてさらに領土を広げ、浦上家に匹敵するぐらいまでになるところで「上」は終わる。

戦い方は計略が多く、他の武将の話とは一味違った面白味があり興味をそそられた。

領土拡大のために、姑殺し、叔父殺し等をするのだが、この本を読めば、この人はけして悪人ではなかったのだろうと思う。

「下」巻を読むのが楽しみだ。

 

おわり

 

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